尼崎事件とは、2012年10月に日本の兵庫県尼崎市南東部(阪神電気鉄道の杭瀬駅・大物駅の北方地域で発覚した連続殺人・死体遺棄事件。
1987年ごろに発生した女性失踪事件を発端に、主に暴行や監禁などの虐待により死亡したとされる8人の被害者が確認されている。
報道では尼崎連続変死事件などと呼称されることが多く、また尼崎連続殺人事件と呼称される場合もある。
2014年3月までに主犯とされる女X(逮捕後に自殺)ら11人が殺人・死体遺棄の容疑で逮捕され、X以外の起訴された10被告人は最大で無期懲役の有罪判決が確定している。
主犯の女性らと主な被害者家族らの相関図
この事件の主犯格とされる女性Xは、少なくとも25年以上もの間、尼崎市南東部で、血縁関係にない者で疑似家族を築きながら多人数で共同生活を営んでいた。
そして、1987年ごろの当時、女性(A)が失踪したことを発端に、複数の不審死や失踪事件が相次いで発生していたが、長年にわたり事件が表に出ることはなかった。
しかし、2011年11月に監禁されていた40歳代女性(Fの長女)が監禁状態から抜け出し警察に駆け込んだことで、Fの長女に対する傷害容疑で逮捕され、次いで、その女性の母親(F)の死亡事件が発覚した。
さらに、この事件を端緒に捜査は進められ、2012年10月に別件(Cの母年金窃盗事件)で逮捕されていた従犯者が全面自供したことで、ようやく一連の事件が明るみに出ることになった。
この直後の2012年12月、Xは、事件について多くを語らないまま、兵庫県警本部の留置場で自殺した。
従犯者の供述をもとに、事件の捜査を続けてきた兵庫・香川・沖縄の各県警による合同捜査本部は、2014年3月に解散するまでの捜査の結果、8人の死亡者を確認した。
死亡者のうち6人について、殺人や傷害致死の容疑などで、Xやその親族など11人が起訴され留置場で自殺したXを除き10人に裁判が開かれた。
また、現在もXの周辺で3人の行方が判明しておらず、1人はXによって死亡したとされるが遺体が発見されておらず、他2人についてはXから逃れているために行方不明となっており公開手配されている。
数ある大量殺人事件の中でも逮捕、書類送検者の数が17人と多く、その中には被害者の子や姉妹といった親族や一連の事件が原因で殺害したものも含まれていることが、この事件の大きな特徴の一つである。
また、些細な弱みにつけこんで恫喝・脅迫して家族全体を支配する、いわば「家族乗っ取り」を複数回起こしていたことも明らかになった。
そこでは、多くの人々が親族間での暴力を強要されたり、飲食や睡眠を制限されるなどの虐待があり、さらには、財産を奪われたり、家庭崩壊に追い込まれるといった被害を受けていたことも明らかになった。逮捕、書類送検者には、そういった事情により、Xに取り込まれ、疑似家族の仲間となったり、否応なく事件に関与せざるをえなくなった人物も多く含まれている。
また、親族と養子縁組をさせられたり、強制的に結婚させられたりするなど親戚になった者が多数いる。 ☆ (T.Koga)長崎市の三山不動産