2008年10月1日午前3時ごろ、大阪市浪速区難波中三丁目の、南海電気鉄道難波駅前商店街の一角にあった、7階建て雑居ビル1階の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」から出火し、約1時間40分後に鎮火した。
同店には32室の個室があり、出火当時26人の客と3人の店員がいたが、15人が一酸化炭素中毒で死亡し、10人が重軽傷を負った。
なお、10月14日朝には意識不明の重体だった男性客が入院先の病院で死亡し、事件による死者は計16人となっている。
また、2日夜までに男性12人の身元が確認されたが、3人については身分証明証の類を所持していなかったこともあって確認が難航し、最後の1人の身元が判明したのは24日になってからだった。
大阪府警察捜査一課は浪速警察署に捜査本部を設置して捜査を行った。
当初はタバコによる失火とも見られていたが、同日午後になって火元の個室を使用していた東大阪市在住の男O(当時46歳)が立ち会った警察官に犯行をほのめかす供述をしたため現住建造物等放火などの容疑で逮捕された。
Oは、高校卒業後トラック配達助手を経て電機メーカーの松下電器産業(現・パナソニック)にライン工として入社。
妻子がいたものの離婚しその後、松下電器産業の早期希望退職者の募集に応じ退職した後、タクシードライバーをするなどしていたが逮捕時は無職で定職もなく、2008年春頃から月12万円ほどの生活保護を受けていた。
また、事件のあとに消費者金融から多額の借金があることも判明した。
大阪地裁での第一審の判決文によれば、Oは数日前に知り合った占い師の男性に連れられて、同日午前1時半ごろに個室ビデオ店に来店した。
そこで「個室ビデオ店の部屋が狭いと感じたこと、トイレで大便をきばる声が聞こえたこと、他の部屋から男性のもだえ声が聞こえてきたことをきっかけに、「こんなやつらと同類か」「自分の人生とは何なのか」と思うようになり、生きていくのが嫌になった。
その結果、他人を巻き込んでも構わないと思いつつライターで店内のティッシュペーパーに火を付け、持ってきたキャリーバッグの荷物(占い師の男性のもので新聞紙や衣服が入っていた)などに燃え移らせた」という旨の供述をしていることが明らかにされており、この火がソファーなどに燃え移って延焼したと見られている。
事件が起きた日は偶然にも、個室ビデオ店舗などにも自動火災報知器の設置を義務付ける改正消防法の施行当日であり、この事件を受けて全国で個室ビデオやカラオケボックスなどに対する緊急の立ち入り調査が行われた。
その結果、多くの店舗で報知器や消火器の未設置など、消防法違反や防火体制の不備が確認されたことが報じられている。 ☆ (T.Koga)長崎市の三山不動産