夏目漱石は、1867年に生まれ、1916年に死んでいる。
その夏目が、科学技術と人間の関係を明確に語っている。
それは、「人間の不安は科学の発展から来る。進んで止まる事を知らない科学は、かつて我々に止まる事を許してくれたことがない。」という一文です。
まあ、この科学は、文明と言い換えても良いのかもしれないが、私たちが創った仕組みや制度は、それが創られた時から、独り歩きして、どんどん人間に制限を与え、自由を奪い、そして、人間の意志までも踏みにじってしまうのです。
この制度的本質を、夏目は、日本の近代が始まった当初から感じていたのです。
そして、警鐘を鳴らしていた。
しかし、そんな警鐘は、一旦自然を破壊しながら発展してきた科学や文明には、何の力も持たない。
そこには、何も対抗する手段がないからです。
科学や文明に代わる何かがないほど、世界を覆ってしまっていたからです。
人間から生み出されたものは、人間を超えて、どんどん人間を追い詰めていく。
そして、その追い詰められた人間は、さらに色々なものを生んで対抗しようとするが、それらは全て、科学や文明に吸収されて、さらに人間を追い詰めることになっていく。
この悪循環は、人間が滅びるまで続くはずです。
なぜならば、人間の過剰性がそれを許さないからです。 ☆ (T.Koga)長崎市の三山不動産